サンダー嫌いでも
認めざるを得ない
OKCサンダー優勝への道を徹底分析【2026】
タンキング疑惑・スモールマーケット・SGAのフロッピング……嫌う理由には事欠かない。でも正直に言おう。数字は嘘をつかない。
なぜサンダーは嫌われるのか
まず「サンダー嫌い」の気持ちを全力で肯定しておこう。嫌う理由は三つある。
① スモールマーケットで盛り上がらない
2025年のNBAファイナルはサンダー対ペイサーズ。オクラホマシティ対インディアナポリスという、アメリカ中規模都市同士の対決に、元NBA選手のマリオ・チャーマーズは率直にこう言った。
「サンダーには勝ってほしくない。スモールマーケットだから。ビジネス的にどうするんだ、ということだよ。大都市のチームが優勝しないといけない」
アダム・シルバー コミッショナー自身がファイナル序盤の「ネガティブな反響」に言及するほど、世間の関心は薄かった。ファイナルの平均視聴者数は序盤8〜9百万人台と低調で「史上最もつまらないファイナル」と揶揄された(FanSided)。
② タンキング疑惑:ドラフト指名権を34枚溜め込んだチーム
ドレイモン・グリーンをはじめ多くの批判者が指摘するのが、サンダーの"設計されたタンク疑惑"だ。その経緯を見てみよう。
| 年 | 出来事 | 獲得した資産 |
|---|---|---|
| 2019 | ポール・ジョージをトレード | SGA + 1巡目指名権5枚 + スワップ権2つ |
| 2019 | ウェストブルックをトレード | 1巡目指名権3枚 + スワップ権 |
| 2021 | ドラフト | ジョシュ・ギデイ(6位) |
| 2021 | 保有指名権の合計 | 7年間で34枚(1巡目17枚) |
| 2022 | ドラフト抽選 | 2位指名権 → チェット・ホルムグレン |
| 2022 | ドラフト(CLAクリッパーズ枠) | ジェイレン・ウィリアムズ(12位) |
これほどの資産をかき集めたチームが強くならないわけがない——という嫉妬と怒りはある意味正当だ。ドレイモンは「サム・プレスティはユタ・ジャズと同じことをしてタンクで優勝した」と名指しで批判している(ClutchPoints)。
③ SGAはフロッパーだ
これが最大の批判だろう。2026年プレイオフ第2ラウンド・レイカーズ戦Game 1直後、「SGAはプレーのたびにフロッピングしている」というクリップがSNSで拡散し、ESPNの「パット・マカフィー・ショー」にまで飛び火した。ジェイレン・ブラウンやサクラメント・キングスのマイク・ブラウンHCも公然と批判している。
レギュラーシーズン平均:9.4本(リーグ2位)
2026年プレイオフ:12.3本
出典:ESPN / NBA.com
それでも数字は嘘をつかない
嫌いな気持ちは十分わかった。ここからが本題だ。
2025-26レギュラーシーズン成績は64勝18敗(リーグ1位)。ここまではまあいい。問題は中身だ。
得失点差 +15.5はどれだけ異次元か
1試合平均の得失点差が+15.5——これはNBAの歴史上、いかなるチームも記録したことのない数字だ。1シーズン累計では+1,243点で、こちらも史上最高(SI.com)。ちなみに前記録はサンダー自身が2024-25シーズンに樹立した+12.9だった。自分たちで記録を更新し続けている。
ディフェンスの支配力は「別次元」
ディフェンシブレーティング103.6——2位のヒューストン・ロケッツが110.3で、その差は6.7ポイント。2位と22位の差が6.4ポイントしかないことを考えると、この数字がいかに異次元かわかる(The Athletic / NBA.com)。
SGA:MVPを88票で圧倒的に連覇
今季のSGA平均スタッツは31.1得点・6.6アシスト・4.3リバウンド・FG55.3%。2年連続MVPを88/100票という圧倒的支持で獲得。クラッチプレイヤー・オブ・ザ・イヤーも96/100票で受賞した(ESPN)。また20得点以上を127試合連続で記録し、ウィルト・チェンバレンが持っていた記録を超えた。フロッパーであろうとなかろうと、この生産性は本物だ。
Kia NBA MVP(2年連続)— 100票中88票の1位票を獲得
クラッチプレイヤー・オブ・ザ・イヤー— 100票中96票
出典:ESPN / Yahoo Sports
SGAのフロッピング問題:本当にズルいのか
SGAへの批判は一部正当だが、混同されている部分がある。
フォールバイティングとフロッピングは違う
フロッピングは「当たっていないのに倒れること」。フォールバイティングは「相手のファウルを誘導する技術」だ。SGAがやっているのは大部分が後者であり、これはKDやコービー、ジェームズ・ハーデンが長年磨いてきたスキルと本質的に同じだ。嫌いなのはわかるが、反則ではない。
それでも「やりすぎ」という批判は残る
とはいえ、チェット・ホルムグレンまでもが試合中に「馬鹿げたフロップ」をやらかしてメディアに取り上げられるなど(Yardbarker)、チーム全体の文化として染み付きつつあるのは事実。この問題はサンダー自身も向き合うべき課題だろう。ただし——それはプレイオフの結果とは別の話だ。
タンキング批判:本当にズルかったのか
ここは少し擁護しておきたい。
2019-20シーズン、ポール・ジョージとウェストブルックを放出したOKCは「完全タンク」と予想されていた。だが実際の成績は44勝28敗。プレイオフにも進出している。ドレイモンの言う「タンクで成り上がった」という批判は、少なくともこの点では事実と異なる(Thunderous Intentions)。
本当の話をすると、サム・プレスティGMが行ったポール・ジョージのトレードは、NBA史上最高のトレードのひとつだ。見返りにSGAを手に入れたあの判断は、結果論ではなく当時から業界内で高く評価されていた。ズルいというより、圧倒的に賢かったのだ。
「サム・プレスティは去年、ユタがやっていることと同じことをしてチャンピオンになった」
結論:嫌いでいい。でも最強は認めろ
2025年NBAチャンピオン。2026年プレイオフ第2ラウンドではレイカーズに2連勝(Game 1: 108-90、Game 2: 125-107)。マーク・ダイグノルトHCは就任以来プレイオフ第1ラウンドで一度も負けたことがない。
サンダーが嫌いな理由は正当だ。スモールマーケット・タンキング疑惑・フロッピング文化——どれも「なんか好きになれない」理由としては十分すぎる。でもそれとこれとは別の話だ。
嫌いなまま優勝を見届けることになっても、それはあなたのせいじゃない。サンダーが強すぎるだけだ。2025年のファイナルはGame 7で1,640万人が視聴した。「つまらない」と言っていた人たちも最後は見ていた。それが答えだ。
【主な参照データ・出典】
- ESPN — 2026 NBA MVP: SGA wins second consecutive award
- The Athletic / NBA.com — Thunder's historically dominant defense
- SI.com — OKC sets highest point differential in NBA history
- Yahoo Sports — Mario Chalmers admits hating OKC Thunder
- Heavy.com — SGA flopping accusations in 2026 playoffs
- Yardbarker — Chet Holmgren flop in Game 2 vs. Lakers
- ClutchPoints — OKC Thunder draft pick timeline
- FanSided — If the Thunder are ruining the NBA, that's on the rest of the league
※ データは2026年5月9日時点のものです。